マーケティングの未来を考える『アイデア・エコノミー』(砂川肇)

      2016/04/08

少しIT系の記事が続いたので、マーケティング関係の本を紹介します。

『アイデア・エコノミー』(砂川肇)
ideaeconomy

この本は1800年から現代までのアメリカのマーケットに起きた大きな現象を「規模、効率から"アイデア"の時代へ」というキーワードから俯瞰し、様々なキーワードとともに今、アメリカで何が起きているかを個々のマーケティング事例とともに考察していくという本です。

現在のアメリカのマーケットを俯瞰した本としては、佐久間裕美子さんの『ヒップな生活革命』もおすすめですが、この2冊を読むと今後の日本のマーケットの未来がとてもよく見えてきます。

著者の砂川肇氏はアメリカのトレンド分析の専門家として35年もアメリカと日本を行き来しながら、つぶさにマーケットの観察と分析を続けてこられた方です。

「規模」を追及した1800年代、「効率や速度」を追及した1900年代に対して、来るべき21世紀は「アイデア」の時代になるということが様々なキーワードとともに考察されていきます。

取り上げられているトピックは、マスプロからの脱出、アイデア経済、カスタマイズ、リストア、リレーショナル・マーケティング、スロー・エコノミー、NPV、ソーシャル・デザイン、コーズ・オリエンテッド、情報社会の民主化、コエボリューション、ビジョナリー、コミューナル、ソーシャル・エンゲージメント等々

1989年のアメリカでのブラック・マンデーによるバブル崩壊とともに始まった「規模、効率・速度」の経済をどう乗り越えていくべきなのかという議論が、アメリカの様々な新たな取り組みへつながっているとして、豊かな事例とともに検証されていきます。

この本が今、日本で読まれるべきだと感じるのは、アメリカが1989年のバブル崩壊以降に味わった苦悩が、日本がリーマン・ショックに味わっている苦悩と重なり合っているような印象を受けるからです。

アメリカで起こったことは2,30年のスパンを経て日本に起こるとよく言われますが、まさに、それが今、起きているのではないでしょうか。製造業の主役が日本から韓国・中国・台湾あるいはその先にあるベトナムを初めとした東南アジア諸国へシフトしていく。モノからコトへの価値観の以降とともに従来型のセールスが行きづまりを見せ、消費が低迷し続ける。マーケットがわからないという声が溢れ、企業のコラボレーションやイノベーションへの期待が高まる。作れば売れた時代が終わり、何をどう作れば良いのかが自明ではない時代にどのようなマーケティングを行えばよいのか、いやむしろ、マーケティングという概念自体を見直す必要があるのではないか。

日本はまさにそんな位置づけにある気がしますが、どの企業も次の時代への移行をスムーズに行うことができずに苦しんでいる気がします。

上記のキーワードは1995年から始まったインターネットの普及とともに語られることが多いテーマも含まれていますが、ITからの視点に偏らずに一歩距離を置いた視点から観察されている点もとてもよいところです。
インターネットの普及は世の中に強烈なインパクトを与えマーケティングのあり方を抜本的に変えているという点に間違いはありませんが、インターネットが奪っていったものの反動からまた新たなマーケットが生まれることも事実です。
インターネット絶対主義に陥らず、インターネットにできないことは何か、インターネットによって奪われるものは何かということを考えることもまた新たなビジネスのヒントになるかもしれません。

本書で事例にも取り上げられていますが、パタゴニア社のように『なるべく買わないようにしよう』というメッセージが、真剣に、企業から広告として発信される。

そんな複雑な時代を読み解く上で、参考になる事例が網羅されたおすすめの一冊です。

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