日本企業がイノベーションを起こすにはどうすれば良いのか。最先端の経営学の知見から学ぶ

   

今日は本の紹介です。

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早稲田大学の入山章栄准教授の『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』という本を読んでいます。

直接、起業に関して述べられた本ではありませんが、経営者の方にも起業を目指す人にも一般のビジネスマンの方にもとても刺激的な本なのでお薦めします。

入山先生は、本書の中で、いくつかの理由があって、現在、経営学の最先端で研究されていることとビジネスの現場(あるいはビジネススクールで教えられていること)とが乖離しているということを述べていらっしゃいます。

理由としては、経営学の最前線で研究する教授たちが学術論文を書くことへのインセンティブは働くのに対して、ビジネスの現場で通用するツールへの落とし込みを行うインセンティブが少ないということが理由のようです。

そのため、ビジネスの現場では、いまだにポーターやバーニーのフレームワークに従って議論されていたりするが、実際に、経営学の最前線では、ポーターやバーニーのフレームワークは研究されていないようです。そして、日本だけでなく、世界中で、経営学研究とビジネスの現場の間に溝が生まれているとされています。

経営学に限らず、どのような学問でも、仮説が生まれてからそれが実証されるためには時間や歴史が必要ですが、ことビジネスの現場においてはドッグイヤーからマウスイヤーなんて言われる昨今、最先端の研究を参照しながら考えていかないと研究もすぐに時代遅れになることが十分に考えられますね。『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』も同時に読んでいるのですが(また紹介します)指数関数的に成長するビジネスが次々と生まれる中、旧来のフレームワークでは分析できないことが多々出てきて当然だと思います。

本書は、そんな状況の中、経営学の最先端の研究から導かれた知見を一般のビジネスマンや学生にもわかるように書かれており非常に面白いです。

企業を経営する立場の方でなくとも、

経営学はそもそも役に立つのか

といった疑問は、誰しもが一度は持ったことがあるのではないかと思いますが、それに対する入山先生からの視点から始まり、全26章にわたって、一般のビジネスマンが身近に感じることを最先端の経営学はどのように考えるのかが網羅されています。

管理人もまだ全部読んでいないのですが、これまで読み進める中で、このブログとも関連性が高いかなと感じる箇所があったので、紹介します。第5章から第7章のイノベーションに関する章です。

日本企業はどのようにイノベーションを起こせばよいのかという問いから入り、

イノベーションを起こすには「チャラ男」と「根回しオヤジ」の組み合わせが最強ということが書かれています。

(男女平等の観点からすると「チャラ女」と「根回しオバサン」も入れないといけないかもしれませんが、、、、本書の表現に従うとして)

どういうことかというと、イノベーションを起こすには、「知の探索」つまり、異なる業界のビジネスモデルや知識・知恵を運んでくる役割とそれを実現する役割が必要で、おそらく一人の人間でその両方の立場の役割を行うのは非常に難しい。なので、外で「知の探索」を行う人物と、それを社内で実現に向けて政治的に動ける人物でタッグを組ませるのが最も良い方法ではないか、と提言されています。

これほど世の中が急速に変化する中、イノベーションに関して、悩んでいる企業はとても多いのではないかと思います。

(任天堂はまさか、マイクロソフトとソニーがライバルになるとは思ってなかったでしょうし、ソニーはAppleがライバルになるとは思っていなかったと思います。トヨタやホンダも今後、電気自動車の時代になると電機メーカーが苦しんでいるようなコモディティ化に苦しめられるかもしれませんし、銀行業だってフィンテックによって、音楽、出版、印刷業界の苦しみを味わうかもしれません)

本ブログを読んで頂く方の中にも大企業で新規事業開発室のような部署で働いている方もいらっしゃるかもしれませんが、新規事業開発室のような部署で勤めるためには「チャラさ」が必要です。チャラいというのは、弱いつながりをたくさん持っているということです。弱いつながり、強いつながりについては、ネットワーク理論の中でよく使われる表現ですが、ここでは割愛します。ご興味がある方は

『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』アルバート・ラズロ・バラバシ

が有名なので、ぜひお読み下さい。
SNSが世界中で登場するタイミングで話題になった本です。

話を元に戻すと、新規事業開発室で仕事をするには、節操がないと言われるくらい様々な異業種交流会や勉強会などに顔を出して弱い知り合いをたくさん作る方が有利ということですね。

ただ、そういう外部での活動を重んじる人というのは社内では異端児扱いされますし、社内的な政治力が弱かったりします。社長直属の部署で社長と直接コミュニケーションを取りながら進められるような場合は別かもしれませんが、外部との連携というのは社内の既存事業とぶつかったり、既存事業そのもののビジネスのフレームを崩しかねないような新たな挑戦なども含まれるので社内からは嫌われます。

そこで、そういった新規事業を進める場合には、社内の政治力が強い上司とタッグを組ませることで物事が進みやすくなると書かれています。

これは、今、日本のどこの企業も感じている共通の悩みではないでしょうか。

戦後の高度経済成長期と違って、どの業界でも、これをやっていればあと5年間は安心というようなことが誰もいえなくなっている今、既存事業と新規事業をいかに両立させていくかが問われていると思います。

また、そういった部署で働いている方は、会社の理解が進まないため、思い切って起業しました、もしくは起業を考えていますという方もいらっしゃるかもしれません。

日本の大企業は、戦後何もないところから数々のイノベーションを生み出して、世界を股にかける多数の名企業が生まれました。ただ、逆にいうと何もなかったからこそ、イノベーションを生みやすかったという点も大きいかもしれません。今、問われているのは、成熟した社会でどのように新たなイノベーションを生み出し社会を活性化していくかということだと思いますので、そういった観点から非常に示唆に富む提言がなされているのではないでしょうか。

また、読み進めてご紹介したいと思います。

■管理人より
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