人工知能が変えていく私たちの未来

   

みなさん、こんにちは。

GoogleのAlphaGoが2戦連続で囲碁のチャンピオンに勝利したことが大変話題になっていましたね。
それはすごい、革命的だ、と思う方もただのゲームでしょ、と思う方もいらっしゃると思いますが、いずれにしても人工知能の技術はこの数年間で飛躍的進歩を遂げています。

人工知能の歴史や現状については、東京大学の松尾豊教授が率先して日本での旗振り役を努めていらっしゃるので、興味のある方はぜひ松尾先生の本をお読みになっていただきたいと思います。

『「人工知能」ってそんなことまでできるんですか?』中経出版
『人工知能は人間を超えるか』角川書店

あたりがおすすめです。

8384110298_da510e0347_z出典 Flicker A Health Blog

日本企業として人工知能の研究に熱心なのが、リクルート社とカドカワ社ですね。

リクルート社は2015年4月にRecruit Institute of Technologyという人工知能の研究所を設立しています。
カドカワ社も2014年10月にドワンゴ人工知能研究所という同じく人工知能に特化した研究所を設立しています。

大手メーカーなども内部で独自の人工知能に対する研究を行っているとは思いますが、上記の2社に関してはプレスリリースなども出しており、活動が目立っていますね。

リクルートとカドカワ(カドカワは角川書店とドワンゴが2014年5月に統合)はどちらも情報を取り扱う企業ですね。
そして、アナログとデジタルの両方に強い会社という定義もできるかもしれません。リクルートは元々出版業からスタートし、今は教育、就職、結婚、転職、出産・子育て、不動産他多種多様な分野においてアナログ・デジタルともに強力な力を発揮する展開を行っている企業です。一方のカドカワは元々、アナログ分野での出版、映像、ゲームなどマルチメディア展開が上手だった角川書店と、携帯コンテンツやニコニコ動画などデジタル分野が強かったドワンゴが合併してできた会社です。つまり、両社とも様々なジャンルにおける「情報」の取り扱いに長けた会社ともいえるかもしれません。

そんな両社が、揃って、人工知能の研究所を設立したというのは、情報産業の未来を象徴する出来事といえるかもしれませんね。

リクルート社が今、現在、行っている仕事はマッチング事業とも言い換えられます。

おいしい飲食店を探しているユーザとお客さんを探している飲食店をマッチングする『ホットペッパー』などの事業、いい就職先を探している学生といい学生を探している企業をマッチングする『リクナビ』などの事業、いい結婚式場を探すカップルと結婚式場をマッチングする『ゼクシィ』などの事業。

こういったマッチングを現在、リクルート社は人的労力をかけて行っています。リクルート社の営業マンがクライアント先を取材し、丁寧な取材文と撮影を行い、記事としてアナログ・デジタルのメディアに落とし込みユーザに届ける。そのための付加価値として企業(クライアント)から媒体費を取っているのです。

ところがこのマッチングするという機能だけに関して言えば、『人工知能』に取って代わられる可能性が多分にあります。すべてとは言わないにせよ、シェアを奪われるという可能性がかなり高いです。そのため、リクルート社は先行して、この分野の先駆者となり、優位に立とうとしているのだと思います。リクルート社は2012年にアメリカの求人検索サイト『Indeed』を買収しています。日本ではあまり知名度はありませんが、Indeedというのはいわば求人板Googleのようなサイトです。つまり人手を介さずに検索キーワードに基づき、求人情報を表示する検索サイトです。リクルートにとってのこの買収は、Indeedのビジネスモデルを日本でも広めるという考え方というよりは、検索エンジンの技術ノウハウを獲得するために行ったという側面が大きいのではないでしょうか。

一方のカドカワ社ですが、カドカワ社あるいはドワンゴ社は『コンテンツ』を取り扱ってきた会社です。カドカワの社長、川上氏がジブリに修行にいったということが話題になっていましたが、川上氏はすぐれたコンテンツとは何なのか、どのように生まれるのか、すぐれたコンテンツとプラットフォームとメディアの関係はどうあるべきなのか、を常に模索しているように見えます。そんなカドカワ社にとっての人工知能の研究というのは、どこまでが機械にできることでどこからが人間にしかできないことなのかを見分けようとしているようにも見えます。クリエイティブなコンテンツを作り出すというのは人工知能にとっては一番むずかしいことです。囲碁のように特定のルールに基づく勝負とは異なり、人によっても場所や時間によっても何を面白いと感じるかは人それぞれですし、そこに法則のようなものがあるのかもしれないし、ないのかもしれません。それはまだこれからの研究によるでしょう。ただ、人工知能にとって一番難しいことだから安泰とあぐらをかくのではなく、では、何が人工知能にとって難しいことなのかを探る、そういった取り組みにカドカワ社や川上氏の先見の明が感じられます。

さて、人工知能が影響を与える分野は情報産業だけではありません。
人工知能技術は今後、数十年の間に、人間の文化や産業の根底に関わることを大きく変えてしまう可能性が高いです。
この技術によって、人間は、労働とは何か?社会構造はどうあるべきなのか?人間は何をして生きていくのか?を見なおさざるを得なくなると思います。

そのきっかけとして多くの人にインパクトを与える分野が『運送業』と『製造業』の分野だと思います。

それは、自動運転技術と工場への自律学習型産業用ロボットの導入という形で現れてきます。

運送業の分野でいうと、まもなく数年以内に自動走行者が一般社会に登場してきます。またドローンの発達により、地上以外の配達手段も出てくるでしょう。今、全世界でUberとタクシー産業の間で紛争が起きていますが、Uberにあれほど高い企業評価がなされるのは既存のタクシー産業をリプレイスするからではないと思います。もちろんそれもありますが、将来、自動走行技術が発達すると、ユーザ側にブランド力があり、配達経路の最適化を持った企業が運送業において圧倒的に有利なポジションが取れるからです。そして、それを左右するのは、個々のドライバーのサービス力や運転能力ではなく、ITによる最適化のノウハウです。ユーザが呼んだら、一番早く迎えに来て一番早い方法で届けるノウハウを持った会社が勝つのです。運送業の世界では数年以内にこういったロボットが大多数の配達を代替し、多数の失業者が出ることになるでしょう。

製造業の分野でいえば、人工知能を伴わないロボットが決められた特定の作業しかできないのに対して、人工知能を伴うロボットは人間の行動を学習することができます。

14台のロボットアームに分散自己学習させて人間が数年かけて覚える動作を爆速で経験して身につけさせる恐るべきムービーをGoogleが公開

上記の動画のように、ロボットが試行錯誤を重ねて、正しい動きを学習していくのです。
この技術が発達すると、工場での単純労働者が必要なくなります。

熟練技術者は、まだ必要とされるでしょうが、それも時間の問題ともいえるでしょう。
囲碁で人間がロボットに負けたように、あらゆる分野で、人間よりロボットの方が優れた成果を出せる世の中が間もなく来ようとしているのです。そして、工場労働者が必要ないということもまた大量の失業者を生み出す要因になるでしょう。

運送業と製造業による大量の労働者の失業の問題はおそらく世界中で起き、世界各国で大問題になるでしょう。
ただでさえ、先進国では失業率の高さが問題になっているのに輪をかけて失業が増えるのですから。

高度なロボットを作る人間は必要となるでしょうが、それは一部の人間だけですので、今まで以上に格差も広がり、優秀なロボットを持つ一部の企業が独占的に市場経済の勝者になるという構図も考えられます。もし、こういうことが起きれば、すぐに考えられるのが戦争や内乱の問題ですね。

昔、産業革命初期に起きたラッダイト運動のようなものが新たに起きる可能性は高いと思います。

しかし、人間の手を借りなくて済むということはいい方に考えれば、様々なものの値段が安くなるという可能性も考えられます。大幅にかかっていた人件費がかからなくなるのですから、生活に必要なものが今までの何分の1の値段で購入できるという可能性もあります。

そうなると、おそらく、現在、北欧で実験が行われているようなベーシックインカムが当たり前となり、毎月、働かなくても日常生活は暮らしていけるようなお金を国が支給してくれるような時代が来る可能性もあります。そして、ベーシックインカム以上に稼ぎたい人は大学で研究活動に携わるような世の中になるかもしれません。

いずれにせよ、人工知能は数年以内に様々な分野で私たちの生活に大きな影響を与えることは間違いないですし、起業を考えている人にとってはそこに大きなビッグチャンスも眠っていると思います。

引き続き、人工知能の話題についても取り上げていきたいと思います。

(※リクルート社の戦略とカドカワ社の戦略については、あまり調べずに書いています。管理人の印象で書いた記事なので思い込みや勘違いもあるかもしれません。各社の詳しい戦略は各社が発信している情報を参考にしてください)

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