Chat UIでのコマンドライン操作に特化したアプリPrompt

   

これまで、Chat UIがブラウザを代替する近未来についていくつかの記事で紹介してきました。

カンバセーショナル(会話型/対話型)コマースのトレンドやすべてのサービスにChat UIを提供するLayer社の取り組みなどです。

ここにまた1社、同じビジョンを見据えて参入した企業があるのでご紹介します。
この分野は勝者が見えてくるまでしばらく激戦区となりそうですね。

テッククランチの英語版でも紹介されていました。

Prompt debuts “a command line for the real world”

テッククランチは日本語版もあるので今日は翻訳はしませんが、ポイントとなる点をかいつまんでご紹介したいと思います。

記事の内容はY Combinatorのバックアップを受けたPrompt社から「先日世界にコマンドを送る」『Prompt』というコマンドラインのアプリをデビューさせたという内容です。

Y Combinatorについては、以前、創業者のポール・グレアム氏のエッセイを紹介しましたが、おそらくいまやアメリカで最も有名なスタートアップ支援企業ですね。すでに500社以上の投資を行っていて、保有株式時価総額は110億円ドル(約1兆円)を超えるという超名門企業です。(名門という言葉は長い昔からあるような印象を受ける言葉なので適切ではありませんが、2005年の創業以来、名だたるスタートアップ企業の自立を助け、またVCとファウンダーの間の力学を変えた革命的な存在です。)

Y Combinatorについても改めて取り上げたいと思いますが、そのY Combinatorからまた一社、期待のスタートアップが誕生しました。それがPrompt社です。

prompt

Prompt社のサービスは簡単にいうとChat UIにもとづいたUI上で現実世界を動かすようなコマンドを送るというのがサービスのコンセプトになっています。

この観点はすでに紹介したKik MessengerのTed Livingston氏の考え方とも通じるもので、やがて、現在行われているWebブラウザ上でのクリックはChat UI上のコマンド送信に代替されるだろうというビジョンと一致するものです。

PromptはTom Hadfield氏によって創業されました。元々、彼は、FetchというSMSベースのパーソナルコンシェルジェサービスをリリースしており、その体験が元になっているようです。Fetch自体はうまくいっており、エンゲージメントもリテンションも高かったがスケールするビジネスモデルを見いだせなかったようです。Fetchのパーソナルコンシェルジェの考え方の競合としては、Magic、Operator、GoButlerがあげられています。

PromptはFetchの時の経験を踏まえ、インタラクティブなパーソナルコンシェルジェサービスの替わりに、コマース、ホームオートメーション、インフォメーション、プロダクティビティといった複数のカテゴリー上で、自動化されたアシスタント機能を提供するという方針に変更したそうです。

できることのイメージとしては、 UberやDomino's pizzaを注文したり、方位を表示したり、飛行機の時間を確認したり、ニュースを読んだり、天気予報を確認したり、Yelpに登録されている企業を探したり、WeMo switches、Hue bulbs、Rachio sprinklers や NestといったIoTデバイスを操作したり、あるいはまた別のことだったりといったようなことが挙げられています。

すでにたくさんのサービスとも連携をしていて挙げられているものを紹介すると
Uber
AngelList
Bitly
Etsy
Foursquare
Google Maps
IMDb
WhoIs
Merriam-Webster
Hue
Powerball
NYT
Weather Channel
Wikipedia
WeMo
XE.com
Wolfram Alpha
Yahoo Finance
Yelp
Zillow
その他たくさんの企業

また、開発中のものとしては、
CrunchBase
Domino's
Evernote
Gmail and Google Calendar
PayPal
Wunderlist
などが挙げられています。

辞書、地図、人物検索、天気、金融、商品検索、カレンダー、メモ機能、決済、、多岐に渡るサービスと連携していますね。

Prompt社のビジョンはわかりませんが、いまのところ、エンターテインメントというよりは企業と消費者をつなぐような位置づけとして、企業にリクエストを送るコマンド機能に特化し広げていくような印象を受けます。

イメージとしては、テレビのリモコンのようなアプリですね。

この戦略は面白いですね。CtoCのコミュニケーションを無視して企業とのネットワーク、あるいは、消費者が利便性を感じるサービス(地図、検索、天気)を返すということのみに特化することでコミュニケーションモデルを持っている企業より素早く独自のポジションを築ける気がします。ユーザが増えれば、あるいはユーザの間にChat UIでコマンドを送ることで様々な操作を行うということが習慣されてくれば、FacebookやTwitterやSnapchatのような企業が独自構築よりスピードを選んで買収を企てるという可能性は十分に考えられます。

特にこれからはIoTマーケットが拡大していくので、IoT機器の操作はこのアプリでというポジションも他社があまり手がけないジャンルとしての独自性を発揮しやすいと思います。

Ted Livingston氏も言っていますが、Operatorのようなパーソナルコンシェルジェサービスは既存のユーザ体験を革新するものではないし、Tom Hadfield氏がいうようにスケールが難しいモデルだと思います。
人工知能の研究のための投資もしくは運送業の拡大といった着地点を目指して取り組むのであればよいですが、ユーザとしては人間がしてくれるような高度で満足度が高い買い物体験を望むでしょうから敷居は高いと思います。
その点、このコマンドラインによる操作というのは現実的に着地点もみえやすくユーザ基盤ができればBtoB課金もしやすいので短期間で結果を出しやすいビジネスモデルだと思います。

今後の動きも追っていきたいと思います。

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