Y Combinator創業者Paul Grahamが語る、スタートアップ企業がVCに接するときに重要ないくつかのこと

   

Y Combinatorの創立者として有名なPaul Grahamさんのエッセイを翻訳しました。

Paul Grahamさんは、プログラマーであり、起業家として自社の事業を成功させYahoo!に売却した経験を持ち、
また、Y Combinator(アメリカの技術系スタートアップを支援するための組織、活動)の創業者として、投資家、メンター、アドバイザーとして、
多くのスタートアップ起業を支援しています。

投資先には、DropBoxやAirBnB、reddit(アメリカの2ch)など有名な会社も含まれており、まさにスタートアップ企業のあこがれの組織となっています。
そんなPaul Grahamさんが2013年の8月にWebサイトに書いたエッセイです。

ここでは、スタートアップ企業を始めるファウンダーがVCにプレゼンテーションをする時の心構えなどが述べられています。

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スタートアップ企業を始めたい?Y Combinatorに出資してもらって

2013年8月

ポール・グラハム(Paul Graham)

人々が重いものを担ごうとしてけがをするのは、背中に担ごうとするからだ。
重いものを運ぶ時の正しい方法は脚も一緒に動かすことである。
経験の少ないファウンダー(株主であり創業者)は投資家を説得する時に同じ過ちを犯す。
彼らはピッチ(短時間で行うプレゼンテーションのこと)を通じて投資家を説得をしようとする。
もし彼らが彼らのスタートアップ企業をどのように動かすのかーつまり、そのスタートアップは投資する価値があるかを理解し、スタートアップを始めているのであればなおよい。
シンプルに投資家にそのメリットを伝えればよいのだから。

投資家は成功するスタートアップ企業を探している。
しかしそのテストは響きほど簡単なものではない。
スタートアップにおいては、他の多くのドメイン ーそこではアウトプットの分配は"べき法則"に従う(いわゆる20:80%ルールなど)ー と異なり、
カーブが急激なものとして始まる。
大きな成功は彼らが他の競合他社の戦意を喪失させるほど大きくなった時に現れる。

そういった理由によって、毎年、一握りの会社しか成功しない。(一般的には毎年15社だけと言われている)
もし投資家が二者択一を迫られた際に"大きな成功"として扱う企業の数は。
もし、あなたの会社が、この15社の大きな成功企業に入る可能性があるようなら、例えあなたの会社が小さな企業であっても、ほとんどの人はあなたに興味を持ってくれるだろう。[注1]

(高い確率で"ほどよく成功する"企業に興味を持つエンジェル投資家もいることはいる。
しかしそういったエンジェル投資家も"大きな成功"は好きである。)

では、あなたは、どうすれば大きな成功者の一人となることができると思うだろうか。
3つのことが必要である。

Formidable(形にしそうな)ファウンダー(創業者)、信頼できるマーケット、(通常は)成功のためのいくつかの証拠の3つである。

Formidable(形にしそうだということ)

最も重要な構成要素はFormidableな(形にしそうな)ファウンダーである。
(※Formidableはこの場合、あることを確実に遂行し実現する能力、もしくはそう見える能力を指している。)
多くの投資家はわずか数分であなたが勝ち組か負け組かを判断する。そして一度彼らがそういった意見を持った場合、あとからそれを変えることは難しい。 [注2]
それぞれのスタートアップ企業が投資してもらう理由も投資してもらえない理由もそれぞれ持っているものだ。
もし投資家があなたを勝ち組だと判断すれば前者にフォーカスするし、そうでなければ後者にフォーカスする。
例えば、巨大なマーケットが存在するが、売れ行きのサイクルはゆっくりとしているような市場があるとしよう。
もし投資家があなたに良い印象を持ったのであれば、そこに巨大なマーケットがあるので投資しようというだろう。
そうでなければ、まだ売れ行きのサイクルが遅すぎるといって投資しないことを伝えるだろう。

彼らは必ずしも、あなたを間違った方向に導こうとしているわけではない。
大部分の投資家は、そのスタートアップが気に入ったり気に入らなかったりする心理状態について自分でも本当によくわかっていないのだ。
もしあなたが勝ち組にみえるようであれば、彼らはあなたのアイデアも好きになるだろう。
この彼らの弱点について、あまり自惚れないようにしてほしい。なぜなら、あなただって同じ状況なら同じことをするだろうから。
ほとんどの人は同じようにするのだ。

アイデアの役割というのはもちろん存在する。
それはファウンダーを好きになり始めるために火に投入する燃料のようなものである。
投資家があなたを気に入った場合、彼らはあなたのアイデアについて触れてくるだろう。
「そうだ、その通りだ。そしてXに対して、こういうこともできるだろう。」と言おうとするだろう。
(それに対して、あなたを気に入らなければ、「でも、Xについてはどうなんだ」と言うだろう。)

しかしながら、投資家を説得するための基本というのはとても手強いもののように思える。
そして、このことについては、ほとんどの人が会話の中であまり言葉にしていないことなので、
このことがどういう意味なのか説明する義務があるだろう。

Formidableな(形にしそうな)人といのは、たとえその道筋にどんな障害が立ちはだかっていたとしても、手に入れたいものを手に入れるように見える人のことである。
自信にあふれていても間違える人もいるということを除けば、Formidable(形にしそうな)というのは、自信にあふれている(confident)という状態に似ている。

Formidableというのは、大雑把にいうと、"自信や確信"を正当化するものである。

本当にformidableに見える一握りの人たちがいる。
彼らは実際に本当にformidableに振るまい、それを見せようとする。
その他の人たちがそうでないのは、多かれ少なかれ詐欺師としての能力が足りないからだろう。[注3]

しかし、大半のファウンダー(創業者)、ーその中には成功する企業を立ち上げる者も多く含まれるがー は、
資金調達を行う最初のタイミングでは、Formidableなようには見えない。

では彼らはどうするべきなのだろうか?[注4]

するべきでないことは経験者のファウンダーを真似をしようとしてふんぞり返ることである。
投資家というのは、常にテクノロジーを判断できるというわけではないが、"自信"を判断するのは上手である。
もしあなたがあなた以外の人間を演じようとするのであれば、あなたは危険な谷に落ちて終わってしまうだろう。
あなたは誠実さから離れてしまうだけでなく、二度と説得力を持たなくなるだろう。

Truth(真実)

経験の少ないファウンダーがFormidableに見えるようにするための方法というのは、"真実"にべったりと張りつくことだ。
あなたがどれほどFormidableに見えるかというのは常に変化するものである。
それは、あなたが口にすることによっても変わってくる。
「1足す1は2」という時、大半の人は自信があるように見える。なぜなら、彼らはそれが真実であることを知っているからだ。
大半の自信なさげに見える人々というのは、VCに「1足す1は2です」と言った際に懐疑的な反応をされると困惑するかやや軽蔑したような態度になる。
一方、Formidableに見える人が使う奇跡的な能力というのは下記のような言葉とともに用いられる。
「私たちは1年で10億ドルを稼ぐようになります。」
だが、あなたも同じことができるのである。そんなに感動的なフレーズを用いないにしても。
そのためには、まずは自分自身に自信をもつことだ。

これが秘密だ。
自分のスタートアップ企業が投資に値すると自分自身に自信を持つこと、そうすれば投資家に説明した時に信じてもらえるようになるだろう。
あなたの自分自身への自信を加速させるために心理ゲームを行いなさいということを言っているのではない。
自分自身のスタートアップが投資に値するかどうかを本当に評価しなさい、という意味だ。
もしそうでないなら資金調達をしないほうがよい。[注5]
しかし、投資に値すると評価したのであれば、投資家に対して本当のことを言うべきである。
そして投資家はそれを理解するだろう。
もしあなたが物事をよく理解していて本当のことを語るのであればあなたは必ずしも流暢にプレゼンテーションを行う必要はない。

あなたの企業が投資に値する価値があるという評価を下すために、あなたは特定のドメインの専門家である必要がある。
あなたがもし特定分野の専門家でないとすると、あなたがそのアイデアを好きだという程度くらいにしか信用されないだろう。
それは、投資家にとっては、Dunning-Kruger effectの一例にしか見えないだろうから。
(※Dunning-Kruger effectは愚かな人が自分の能力を過大評価してしまいがちなこと)
実際、これは一般的なことである。
そして、投資家は、あなたが質問に対してどれくらい上手に答えられるかを通して、公平にすばやく、あなたが特定分野の専門家かどうかを判断しているのである。
自分自身の関わるマーケットについてはすべてのことを知っておくべきである。[注6]

なぜファウンダーは自分自身が確信を持てないことにおいても投資家を説得しようとすることに固執してしまうのだろうか?
その理由の一つは、私たちが、みな、そう訓練されているからである。

私の友人のRobert Morris と Trevor Blackwell が大学院時代のことだ。
彼らの教えている学生が、先生から最後の質問を受け取った。
それは、私たちがいまだに引用するセリフである。
不運な学生が最後のスライドを見せた時に教授は爆発した。

「いったい君が"本当に信じている"結論というのはどれを指すんだ!」

学校が編成される中で生まれた方法に関する遺物の一つはこういうものである。
私たちは何も口にする必要がない時でも何か話さなければならないように訓練されているのである。
もし10ページの課せられたペーパーがあったとするとあなたは10ページ何かを書いてしまうだろう。
たとえ、1ページしか書くべきアイデアがなかったとしても。
さらにいうと、何もアイデアがなかっとしてもだ。
何かを生み出さなければいけない。
すべての多くのスタートアップが資金調達をする時に同じ心理状態になっているのである。

資金調達をするべきだと考える時、彼らはゲームのような感覚でスタートアップについてのベストのケースを考える。

自分自身が言っていることが信用に値することかどうかを考えて、あらかじめ少し立ち止まって考えてみるということをする者は誰もいない。
なぜなら、彼らはニーズに対しては何かを与えるべきだと訓練されているからである。
常に一定のサイズのものを。
そこにどれほどの真実が含まれているのかどうかということは考慮されず、ニーズがあまりなくても、広げられてしまう。

資金調達のタイミングというのは、あなたがお金を必要とするタイミングではない。
またはデモの日のようにいつまでに、といったものでもない。
それは、あなたが投資家に自身を持って説得できると思ったタイミングである。
決してその前に行ってはいけない。 [注7]

そして、あなたが良い詐欺師でない限りは、自分自身が信じていないことを投資家に信じさせるようなことをするべきではない。
彼らは、法螺話を見分けることに長けている。例え、あなたが無意識に行っていたことであったとしても。
もし、自分自身が確信を持つ前に投資家を説得しようと試みるのであれば、あなたは(信頼も)貴重な時間も両方失うことになるだろう。

しかし、自分自身が確信を持つために立ち止まることによって時間を失わずにすむだろう。
それは、あなたの考えをまとめる力を与えてくれる。
あなたは自身のスタートアップが投資に値するという確信を持つために、なぜ投資に値するかを考えなければならない。
もしそれができたのであれば、あなたの確信は強化されるであろう。
あなたはどうやって成功するかの仮のロードマップを持つことすらできているだろう。

Market(市場)

私は、スタートアップがどのように投資に値するかものになるかどうかについて慎重に述べてきた。
そのスタートアップが成功するかどうかということよりも。
スタートアップが成功するかどうか知っている者は一人もいない。
そして、そのことは投資家にとっては良いことである。
なぜなら、スタートアップが成功するかどうかわかっているのであれば、株価はすでに将来の価格になっているはずである。
投資家がお金を稼ぐ余地はなくなってしまうのである。
スタートアップの投資家は、投資が賭けだということを知っている。
そして、なかなか当たらない賭けだということも理解している。

なので、あなたは投資に値するということを証明するために、あなたが成功するということを証明する必要はない。
あなたが賭けるのには十分な存在だというだけでよいのだ。
何がスタートアップ企業を賭けるのに十分なものにするのだろうか。
Formidableなファウンダーであることに加え、大きな市場の大きなシェアを奪っていくというもっともらしい道筋が必要となる。
ファウンダーはスタートアップをアイデアと考えるが、投資家は、それらをマーケットと考える。

もしXという数の消費者がいて、彼らがあなたが作ったものに対して年間に平均Yドルを支払うとすると、
あなたの会社の潜在的なマーケットの規模(total addressable market,いわゆるTAM)はXYドルとなる。
投資家はそれらすべてのお金を回収することまでは期待しないだろうが、あなたが獲得できる上限の大きさとみなすだろう。

あなたがターゲットとすべき市場は大きくなければいけない。
そして同時に手に入れることができるものである必要もある。
しかし、市場は今は大きくなくてもよい。あなたがその中にいる必要すらない。
実際に、大きな市場に変わる可能性のある小さな市場や、あるいはすぐに大きな市場に移れる小さな市場でスタートしたほうが良いことも多い。
事業を進めるに連れて大きな市場を支配していくためのもっともらしい一連のステップさえあればよいのだ。

もっともらしさの基準は、そのスタートアップの年齢によって劇的に変わる。
デモの日に3ヶ月の年齢の会社は投資に値するかどうかを判断するための実験を行うことだけを約束すればよい。
一方でシリーズAの資金調達を行う2歳の企業はその実験がどういうふうに機能したのかを見せる必要がある。 [注8]

本当に大きくなった企業というのはある意味、"ラッキーだった"ということができる。
なぜなら彼らの成長の大部分は、彼らが乗った外部の波に依存するところが大きいからだ。
なので、巨大になってゆくという状態に説得力を持たせるためには、あなたが利益を得ることができる特別なトレンドというものを特定する必要がある。
通常、あなたはこれを「なぜ今なのか?」という疑問を投げかけることによってなされる。
もしこれほど偉大なアイデアなのであれば、なぜ今まで誰もやらなかったのだろうか?
これに対する理想的な答えとしてはこうだ。
このアイデアは最近になって良いアイデアになったのだ。
そして、そのことにまだ誰も気がついていないのだ。

例えば、マイクロソフトを例にとってみると、彼らが膨大な量のベーシックのインタープリタを販売しているときは成長しなかった。
マイコンの成長とともに、彼らはがマイコンのソフトウェアの山を拡大させるのに完璧に準備ができていた時に成長がはじまったのである。
そして、マイコンは本当に大きな波となった。それは、1975年の時点で最も楽天的な観察者が予測していたより、はるかに大きな波だった。

しかし、マイクロソフトは本当によくやったので、彼らがほんのわずか数ヶ月以内にすばらしい賭けを行ったと考える誘惑にかられてしまうが、おそらくそうではない。
良い賭けだったかもしれないが、すばらしい賭けを行ったというわけではないだろう。
例え、成功した企業であったとしても、ほんの数ヶ月以内に、かなり良い賭け以上の賭けができる企業はないだろう。
マイコンは大きな市場となり、マイクロソフトもうまく事業を進め、幸運を勝ち取ったのだ。
しかしいかなる意味においてもこれは物事がどのような結果になるか明らかであるということは意味しない。
ほんのわずか数ヶ月の間に良い賭けを行ったとみなすことができる企業はたくさんある。
一般的にスタートアップに関して同様のことがいえるかどうかはわからない。
しかしすくなくとも私たちが資金提供した半数のスタートアップは大きな市場を占有していく道を歩んでいくためにマイクロソフトの例を良いケースとみなすことができるだろう。
そして、スタートアップについて、それ以上のことを合理的に説明できる人はいるだろうか?

Rejection(拒否)

マイクロソフトが行ったことを良いケースとみなすのであれば、あなたは投資家を説得することができるだろうか?
必ずしもそうではない。
多くのVCたちはマイクロソフトを拒否するだろう。[注9]
確実にグーグルを拒否する者もいるだろう。
そして拒否されることはあなたを少しきまりの悪いポジションに位置させるだろう。
なぜなら、資金調達をスタートしたあなたが一番最初に投資家から受ける質問は次のようなものだからだ。
「それで他に誰が投資しているのか?」
あなたがこれまで資金調達に動いて誰もそれをコミットしてくれていなかった場合、あなたはどのように答えればよいだろうか?[注10]

formidableに演じることが上手な人々はこれを解決するために、まだコミットしてくれている投資家は現れてはいないが、数人はしようとしている、と答える。
これはおそらく許容される駆け引きだ。
投資家があなたのスタートアップの他の側面を見ずに他の投資家のことを気にするのは少し探偵や刑事のような態度を取っているように見える。
そして、あなたが他の投資とともにどれほど先に進んでいるかを匂わせて誤解させることは完全にカウンターパンチとして有効に機能する。
これは間違いなくペテン師がペテン師を欺く一つの例である。
しかしこのアプローチは大半のファウンダーにはおすすめできない。
なぜなら、多くのファウンダーがこの状態をうまく切り抜けることはできないだろうからだ。
これは投資家に語られる一つの最もありふれた嘘だ。
そして、あなたは、この最もありふれた嘘をプロフェッショナルなメンバーに伝えることについてうまくならなければならないということになる。

あなたが交渉のプロでなければ(そしておそらく例えそうであったとしても)、最も良い解決策は問題に頭から突っ込むことである。
つまり、なぜ他の投資家があなたを拒否し、彼らがなぜ誤っているかを説明するといことである。
あなたがもし正しい道を進んでいて、投資家があなたを拒否することでどう誤っているかを知っているのであれば。
経験豊富な投資家というのは、すぐれたアイデアというのはまた恐ろしいものであるということを自覚している。
彼らは全員、グーグルを拒否したVCたちを知っている。
もし、あなたが、拒否されたことに対してごまかしたり恥じたり(またそれによって判断に同意させられそうになったり)する代わりに、
率直に投資家があなたについて何を恐れているのかを聞いてみると、あなたはより自信があるように見え、ーそれは投資家が好むことであるー
あなたのスタートアップのそういった側面をプレゼンテーションすることでより良い仕事ができるようになるだろう。
少なくとも、あなたがまさに今話をしている投資家にとって発見されずに残された状態でなく、そういった問題がオープンになったのだ。
投資家はその発見にプライドを持ち、触れようとするだろう。[注11]

この戦略は最も優れた投資家にはうまく機能する。
最も優れた投資家というのは、はったりが通用せず、また、他のほとんどの投資家は習慣的な思考に囚われて退屈な仕事しかできず常に大きな異常値に関してミスをしていると信じているものである。
資金調達をするということは学校へ出願するということとは違う。
学校へ出願する場合、MITに入ることが入ることができれば、同時にFoobar State(コンピュータ州のような表現?)にも入れるとみなすだろう。
なぜなら最も優れた投資家というのは残りの人たちより賢いからである。
最も優れたスタートアップのアイデアというのは最初は悪いアイデアのように見える
最も優れた投資家以外のすべてのVCたちに断られるということはよくあることである。
これはDropBoxに起きたことである。
Y Combinatorがボストンでスタートしたとき、3年間、私たちはボストンのグループをシリコンバレーに入れ替え続けた。
なぜならボストンの投資家は数が少なくまた慎重だからだ。
ボストンのグループを次のデモのためにシリコンバレーに送り込んだ。
Dropboxはボストンのグループの一員だった。
ボストンの投資家たちはみなDropboxと最初に会った。しかし取引をしたものは誰もいなかった。
彼らはみな、すでに別のバックアップと同期を行うシステムが存在しているだろう。とみな考えた。
数週間のあと、DropBoxはセコイアからシリーズAの投資を受けた。[注12]

Different(違い)

投資家が投資を賭けだとみなしていることを理解しないということは
10ページのペーパーの心理状態と結びついている。
それは、自分自身が発言することに確信を持たせることの可能性を考慮することからも遠ざけてしまう。;
彼らはとても不確実なもので投資家を説得できると思ってしまう。
例えば、彼らのスタートアップがとても巨大なものになります、といったことによって。
そういったものによって誰かに確信をもたせることができるというのは、明らかに何かしらの売り込みの離れ業を必要とさせてしまう。
しかし実際には、資金調達を行う場合、あなたは疑念の余地の少ないもので投資家を説得しなければいけない。
ーもしその会社が良い掛けをするためのあらゆる要素を持っていたとしてもー
そのことであなたは問題に対して質的に異なる方法でアプローチできるのだ。
あなたは自分自身に確信を持ち、その後、他人に確信をもたせればよいのだ。

そして、あなたが他人に確信をもたせるときは、あなたが自分自身に確信を持たせた時に使ったのと同じ"事実に基づいた"言語を使うべきである。
あなたは自分自身には曖昧で大げさなマーケティングっぽい用語は使わなかったはずである。
投資家にもそういったものは使ってはいけない。
それは、彼らに対して機能しないだけでなく、不的確だということを示すマークにもなってしまう。
ただ簡潔であるべきである。
多くの投資家は、はっきりとそれをテストとみなす。
あなたがあなたのプランを簡潔に説明できないのはあなたが実際にはそれを理解していないからだということを正確に理由づけるために。
しかし例え、こういったルールをもたない投資家であっても、不明瞭な説明には飽き飽きしてストレスがたまるものだ。[注13]

まだあなたがformidableに見える準備ができていない時に投資家に印象を与えるためのレシピが下記である。

1. 何かを投資に値する状態にしなさい
(Make something worth investing in.)

2. なぜ、それが投資に値するかを理解しなさい
(Understand why it's worth investing in.)

3. それをはっきりと投資家に説明しなさい
(Explain that clearly to investors.)

もしあなたが自分で真実だと思っていることを話しているときはあなたは自信があるように見られる。
逆に、ピッチで法螺話を話すような状態には絶対にしてはいけない。
あなたが真実の領域にとどまる限り、あなたは強い。
その真実をより良いものにして、ただそれを話すのだ。

[注1]
この数字が一定であることが正しいという理由はない。

実際、Y Combinatorにおいてもこの数字を増やそうというはっきりしたゴールを持っている。
そのために、他人が持っていないスタートアップをスタートさせようと人々を鼓舞し、励ましている。

[注2]
もしくはより正確にいうのであれば、投資家はあなたが負け組か、あるいは勝ち組になる可能性を秘めているのかを判断する。
もしあなたが勝ち組のように見えたのであれば、あなたが資金調達する金額がいくらだとしても、彼らは、彼らの第一印象が正しかったかどうかをテストするために、
あなたとさらに数回のMTGを持とうとするだろう。

しかし、あなたが負け組だと判断された場合、少なくとも次の年やその次の年においては、もうMTGは、なされないだろう。
そして、彼らが、あなたを負け組と判断した際には、彼らは一般的に割り当てられた最初のMTGの時間を50分以内におさめるようにするだろう。
このことは、VCの無愛想さをについていつも話される驚くべきストーリーを説明する話だ。
スタートアップ企業のプレゼンテーションの間に話されるメッセージを聞きながらどのように投資家は適切な投資判断をするのだろうか。
このミステリーに対する回答としては、彼らは前もって結果を決めているということである。

[注3]
この2つは相互に矛盾するものではない。本当にformidableで、またそのように振る舞うのがとても上手な人たちがいるのだ。

[注4]
どうして巨大な企業を作る人々も最初のうちはformidableに見えないのだろうか。
その主な理由は、それまで彼らが経験したことにある。これまでの経験が彼らの羽を折りたたむようにしているのだ。
家族、学校、そして仕事上において、彼らは協力はしたことがあったとしても征服はしたことがないだろう。
たとえ、彼らがチンギスハーンだったとしても99%は協力なのである。
しかし、その結果として、1920年代の教育法のチューブの中から現れた人たちはチューブの形に圧縮されたままなのだ。
自分自身が羽を持っていることに気がつきそれを広げ始める者もいる。
しかしそれには数年かかる。
初期においては彼らさえも何が可能なのかをわかっていないのだ。

[注5]
実際に、やっていることを変えるべきである。
あなたは自分自身の時間をあなたのスタートアップに投資しているのである。
もし、あなたが、自身がやっていることが投資するのに十分だと思わないのであれば、
なぜ、あなたはそこで働く必要があるのだろう。

[注6]
もし投資家があなたに、あなたが答えられない質問をしたとすると、ベストな方法は、はったりをかますことでもギブアップすることでもない。
代わりに行うべきは、あなたがその答えをどのように考えたかを説明することである。
もしあなたが暫定的な答えをその場でいうことができたなら、なおよいが、それはあなたが想定した暫定的な答えだということを説明するべきである。

[注7]
Y Combinatorでは、私たちはスタートアップに投資家を無視し彼らの企業に集中させることによって
デモの日までに資金調達の準備ができることを保証している。
それによって大半はデモの日までに十分な説得力を持つ段階まで到達する。
すべての企業がそうではない、なので私たちは彼らにデモの日を遅らせるというオプションも同時に与えている。

[注8]
ファウンダーたちは次のラウンドの資金調達がとても困難であることによく驚かされる。
投資家たちの態度には質的な違いがあるのだ。
それは、子どもとして判断されるのと大人として判断されるのと同じくらいの違いがあるのだ。
次にあなたが資金調達を行う場合、十分に前途有望ということはない。
あなたは結果を示す必要があるのだ。

なので、どのステージにおいても成長しているグラフを示すということはよいことだが、投資家はそれを全く異なった形で扱う。
3ヶ月の段階では、成長グラフはファウンダーが効果を出しているというようにみなす。
2年の段階では、成長が期待できる市場において、その企業が市場を開拓し始めたとみなす。

[注9]
このことで、私が意味しているのは、現在、マイクロソフトの3ヶ月と同等の状態でデモの日にプレゼンを行ったら、
投資家は拒否するだろうということである。マイクロソフト自体は外部からの資金調達を行っていない。
実際に彼らがスタートした1975年にはヴェンチャービジネス自体がわずかしか存在していなかったのだ。

[注10]最も優秀な投資家は他の投資家のことはあまり気にしない。
しかし凡庸な投資家はほとんどの場合そうする。
なので、この質問は投資家の質を判断するためにも使えるのだ。

[注11]
このテクニックを使うことによって、あなたはあなたを拒否した投資家がなぜそうしたのかを理解しなければいけない。
または少なくとも理由として何を主張しているのかを。
質問しなければいけないだろう。なぜなら投資家はいつも自発的に多くの取引を行うとは限らないからだ。
このことだけははっきりさせておく必要があるが、そのように質問する時、あなたは議論したり論争するために質問してはいけない。
もし、あなたのプランに弱点があるのであれば、あなたはそれをしらなければいけないからそうするのだ。
いつも彼らから本当の理由を引き出すことはできないかもしれないが、少なくとも引き出そうとしなければいけない。

[注12]
Dropboxは東海岸のすべてのVCに断られたわけではない。
1社取引を試みた会社があった。しかし彼らは安い金額で取引しようとした。

[注13]
Alfred Linは、スタートアップにとって、明瞭で簡潔に説明できることは二重の意味で重要だと指摘している。
プレゼンターがいない時にでも説得力を持つことができるという意味で。
それは、あなたがパートナーに説明するときに機能するだけではなく、パートナーが同僚や仲間に再度説明するときにも機能するからだ。

私たちはこのことを意識的にY Combinatorにも活用している。
ファウンダーたちとデモの日のピッチに向けて一緒に準備をする時、最終ステップは、投資家が彼らの同僚に対してどのように売り込みをするかまで想像して行う。

原典:Want to start a startup? Get funded by Y Combinator.

いかがでしたでしょうか?
さすが、Y Combinatorを立ち上げた投資家であり、起業家であるポール・グラハムさんならではの本質的なことが具体的かつ含蓄に富んだ言葉で綴られていますね。

・Formidableであれ。
・Formidableでなければ他人を説得することはできない。
・他人を説得するにはまずは自分自身を説得しなければいけない。
・自分自身が確信を持てないようなことで他人に確信を持たせることはできない。
・特定分野の専門家であれ。
・自分がかかわるマーケットのことはすべて知っておけ。
・プランは明瞭かつ簡潔に説明できなければいけない

これだけの文章の中からも学ぶべきことがたくさんありますね。

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